競馬は記憶のゲーム

競馬は記憶のゲーム

競馬は記憶のゲーム?

「からだより先に感情が老化することが危険」と、作家で精神科医の和田秀樹氏は説く。
人間の脳は使わないで放置しておくと、前頭葉から萎縮していくということだ。自発的に行動を決める働きにかかわる前頭葉の機能が衰えると、いろんなことに「やる気」がなくなり、変化に対応できなくなる。つまり、からだより先に意欲や感情が“老化”していくのだ。
老人性痴呆の治療に取り組んでいる「金子クリニック」金子満雄所長は、著書で「ボケやすいのは、右脳の感性が欠如している人」と記している。
要するに、脳を活発に使わないために痴呆がおこっているということだ。反対に、日頃から楽器を弾いたり、スポーツや囲碁・将棋などを楽しんでいたりするような人は痴呆がおこりにくいという。
視点を変えれば、脳に「楽をさせない」ようにし、つねに難しい課題をあたえて働かせることが、脳を鍛えることになる。脳に刺激を与え続けることが、記憶力を低下させない方策だといえよう。
中高年の人は、仕事以外に興味のあることを見つけておくことが肝心。それも予想がつかないこと、展開が読めないもののほうが、より脳を活性化するといえる。
たとえば、好みのキャバクラ嬢の名前、趣味、彼女が大好きなブランド、香水の香などを記憶しておくことも、動機はさておいて、記憶力を低下させない訓練なのだ。
キャバクラ以外なら、映画や旅行、スポーツやギャンブルなどは予想がつかないので、より脳に大きな刺激をあたえてくれるだろう。
ん、・・・・・・ギャンブル。そうだ、競馬があった。
興味のない人は知らないかもしれないけど、昔から「競馬は記憶のゲーム」と呼ばれているではないか。その理由は、競馬は必要なデータを覚えておけば、賭ける際に有利だからだ。
馬の血統、馬主や調教師、オッズ、ジョッキーの成績、馬の成績、過去のレース、馬場の状態、基準タイムなど、ひとつのレースに臨むだけでも多くのデータがついてくる。これらは、いわば競馬の「データベース」である。
なかでも、その馬がどのような調教でどのような結果を出したのか、どのようなメンバーと走って何着であったか、などのデータはとても重要だ。
競馬は、これらのデータベースや統計をもとに自分の推理を働かせるゲームだ。競馬ファンにとって、記憶の訓練になることは間違いない。
なるほど、中年が競馬に執着するのは、脳を刺激し、記憶力を低下させないために効果的だったのだ。(ただし、「競馬ファンは記憶力がしっかりしている」という脳科学的な根拠および学術的な統計は、まだ発表されていない)
ともあれ、「もう歳だから、新しいことをするには限界がある」と固定観念でとらえることから脱却し、脳にどんどん新しい“課題”をあたえることが記憶を鍛えることにつながることだけは確かだ。
ご同輩も安心してほしい。意欲さえあれば、中高年になってからでも記憶は鍛えられる。築いてきたベースがしっかりしていれば、脳が柔軟に対応してくれるのだ。